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ヱヴァ破CGセミナー・リポート

アニメ制作ワークフローセミナー
「進化し続けるヱヴァンゲリヲン新劇場版をささえるスタジオカラーの特撮CG/VFX」
〜ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 メイキング

に参加してきた。以下はザックリと箇条書き。記憶違いの部分も多少有ると思われる。

登壇したのは、スタジオカラーのCGIプロデューサー・瓶子修一さん、CGI監督の小林浩康さん、同じくCGI監督の鬼塚大輔さん、の以上三名。

まず、短い映像が流れる。これは「The Final Decision We All Must Take」が流れる予告をCG絡みカットだけのものに差し替えた映像であった。わざわざこのセミナー用に編集したものかもしれない?

セミナーの中身としてはまず、CGIプロデューサー・瓶子さんの調査したヱヴァ破におけるデータを中心に進められた。


総CUT数 1669(ただし欠番カットも含む)

その内訳としては、
3Dカット 417
(ただし3Dガイドだけ出したカット、つまり“アタリ”として出したカット含めると600カット超えるかも、との事)
2Dカット 292
(注意して欲しいのはここでの“2Dカット”とは所謂作画カットではなく、特殊効果もしくはTX貼り込んだカットの事を差す)
モニター 200
(所謂ヱヴァでは恒例の、シンクログラフや内蔵電源表示など、計器類・警報などのカットが“モニター”である)

総TAKE数 7400 shot overこれは驚愕の数字。1カット辺り、少なくとも6〜7テイク撮り直した計算になる。

使用ソフト 3ds Max 2008/2009
使用プラグイン Pencil+ 2、AfterBurn、finalToon、CAT、FumeFX


ヱヴァにおけるCGチームの在り方について
とにかく庵野総監督から「“特撮”チームであれ!」との強い要望が前提にある。

ミニチュアについて
とにかく“資料”という名目で、社長(庵野さん)がNゲージやHOゲージ、ミニカーなどを購入。カラーの経理さんも首を傾げているらしい(笑)
ミサトの車であるアルピーヌ・ルノーA310のCGモデリングについて、貞本さんから「美しくない」との理由で相当なリテイク作業があり、かなり難航したそうだ。一応序のDVDリテイクでなんとかOKを貰えるまで修正し、ホッとするCGスタッフ一同であったが、破ではそのルノーA310が2号機に壊される事になる。しかも当初はその壊れた後、デカールを足して修繕されたルノーA310がその後も登場する予定であったが、小林さん曰く「鶴巻さんが(庵野さんに)けしかけた」として、新たにマツダ・コスモスポーツをCGで作成する事になったとか(笑)
その後、復刻された「帰ってきたウルトラマン」のマットビハイクルの模型を社長が購入したり、庵野さんのウルトラマン好きのお知り合いが所有するマツダ・コスモスポーツをスーパーの裏手の駐車場にてスタッフ一同で撮影会を敢行。庵野さん自らが梯子に登り、俯瞰で車の写真を撮る様子を撮影した写真も公開された。その際、自転車で通りがかったおばちゃんが不審そうに撮影するスタッフを眺めその場を去ったかと思いきや、再びその駐車場に現れサイン色紙を持参。庵野さんにサインを求め、庵野自身も快くサインする一幕もあったとか。
ただし、権利的な問題で、マットビハイクルそのままのデザインはマズいので、「グランプリの鷹」的な方向で落ち着く。赤いラインをどこに入れるか難航したようだ。ルノーA310も当初はせっかくCGなんだからと鶴巻さんの意向でデカールをもっと派手にいれたものの、結局はシンプルな仕上がりになった。

取材箇所 50over
参考写真 176071枚、容量にして485GB

とにかくロケハンで取材に行く。そのロケに行く道中の車内でも運転手以外は皆、カメラで撮影し、うっかり寝ようものなら怒られる、とは小林氏談。寝る小林さんを激写した写真も何枚かあったとの事(笑)
17万枚もの参考写真を、制作進行さんがタグを付けて整理するだけの日々を送ったこともあるようで、容量的にも参考写真だけでFTPサーバー圧迫したようだ。

また「キル・ビル」や「日本沈没」などで知られる世界的特撮美術専門家・三池敏夫さんの所属する特撮研究所に出向き、多数のミニチュアをロケハンする事もあったとの事。しかもミニチュアを写真として収めるだけでなく、そのミニチュアの設計図を借りて、そこからCGとしてモデリング。そのミニチュアはガメラで使用されたものであったりし、庵野さんは「ミニチュアをデジタルデータとして保存する特撮文化事業だ!」と豪語していた(笑)
ちなみにそのミニチュアは主にヱヴァが第8使徒を受け止めるシーンで使用。しかし「公園の滑り台」などモノによっては3コマしか画面に映っていないものあるとか。「是非ブルーレイで確認してください(笑)」と瓶子氏談。
とロケハンを重ね、本物を追求する一方で、決してリアルだから必ずしもOKという訳ではない。

総監督・監督のチェックについて
10テイク以上重ねた後、最終的に1テイク目に戻される場合も。とにかくテイクを重ね提示して、練り上げていく作業の連続のようだ。
また総監督・監督の三人の好みがあるようで、
庵野さん・標準レンズ
鶴巻さん・望遠レンズ
摩砂雪さん・広角レンズ
と別れるらしく、三人がバラバラにチェックすると、三者三様の意見が出て収集がつかない為、スタッフはなるべく三人同時でチェックしてもらいたいとか。
さらにアナログ時代でいうとこの“撮出し”を、CGや撮影のオペレーターの横で直接指示しすぎた庵野さんはpixel数で指示出来るまで成長。ちなみにそのソフトは使えないにも関わらず(笑)

美術設定用モデリング
美術さんに参考として渡す為に、美術設定用にCGのモデリング作業をしたようで、セミナーではミサトと加持が休憩している、ネルフ本部のエントランス付近のモデリングを紹介。
あの場所のモデルとしては丸ビルをロケハンしたとの事。とにかくモデリング作業は紆余曲折有り(テイクごとのモデリング画像が公開される、テイク毎にスタッフの混迷ぶりが窺え会場笑)、7takeほど作業を重ねたようだ。

アバンの仮設5号機について
あのシーンのCGを担当したのは井野元英二さん率いるオレンジ。
そのシーンの作業中であった時、リボルテックシリーズの仮設5号機の原型が上がってきた。
当初、庵野さんも含め、仮設5号機はガンタンクのような車両的なモーションを想定していたが、その原型師さん(谷明氏か山口勝久氏のどちらかと思われる)がつけたポージングが余りにもカッコ良かったが為に、かなり公開間近の最終的な時期にCGモーションを細かく足す修正が出たようだ。冗談交じりに「原型師さんを恨む」などなど(笑)

第7使徒戦担当はCG会社「画龍」

CGと作画の使い分け
一般的なTVアニメの現場では、CGがうまくいかなかった場合、最終的に作画に変更されたりと、CGとしては後ろ向きな場合も少なくないなかで、ヱヴァ新劇場版の現場はかなりフレキシブルな作業が重ねられたようだ。
作画とCG両方でテストを重ね、どちらかを選ぶというような、アニメの現場を知る者なら特異で贅沢なワークフロー。
5号機と第3使徒戦の爆発や火花なども、とりあえずCGでテストしてみたところ、監督達のウケが良くCGになったとか。
また第8使徒戦直前の、クラウンチングスタートの体勢に入るエヴァ初号機のカットは、原画・動画作業もしセルデータとして起こしたにも関わらず、カメラが3D的にトラックバックして若干のパース変動の為に、どうしても作画の初号機の足元が滑る問題が発生(ちなみに作画作業前にそのカメラワーク用のCGガイドを出していたとの事だ)。動検さんもかなり根気を入れて修正したが、結果上手くいかず、本田雄さんの原画ではなく、CGのエヴァ初号機に変更するに至った。
第10使徒によって一発で特殊装甲が破壊された後の、天井のビル群が落ちてくるカットでは、煙が作画とCG両方作られ、どちらも巧くいったので庵野さんも相当迷ったとか。最終的には作画verのテイクが使われているようだが、BD版ではもしかするとCGverのテイクが使われる可能性も有るとの事。
ちなみに現在BDリテイク作業中のようだ。


以上、ザッとこんな感じのお話が。
意外とCG的なテクニカルな話よりは現場の馬鹿話が多くてビックリ(まぁそっちの方が面白いけどね)
まぁあと、CGスタッフの御三方が、庵野さんの事をたまに「社長」と言ったりしているのが面白かったなー。そりゃ社長なんだけど。
「ワークフロー」って言えば聞こえは良いけど、結局「行きあたりばったり」ないい加減な現場なんだよね(笑)監督も制作も、素材がどこでどうなっているかとか正直把握出来てないんだろうなー。まぁそのいい加減さが凄いんだけどさ。アニメの場合、コンテで設計されちゃうとそれ以上、膨らます作業は難しいしね。
それにしても、もっと色んな話聞きたかったなー。

2009年09月10日 アニメ トラックバック:2 コメント:1

ヱヴァ“電柱”作監こと田中達也さんのブログが電柱だらけ。

Natural Disposition

ヱヴァで事実上、電柱作監を務める若手アニメーター・田中達也さんの写真ブログ(エンドクレジット的には「原画」)。
仕事熱心なのか、とにかく電柱の写真しかない(笑)
恐らく作画参考用の資料として使用しているのであろう。

個人的には年齢も近いし、同郷出身なので、応援しております。

2009年07月18日 アニメ トラックバック:0 コメント:0

あのソフト・オン・デマンドが動画仕上げ会社を立ち上げる

風の噂で聞いたんで、調べてみたらマジだった。
SODアートワークス

HPを一見すると判らないんですが、求人サイトに求人情報に詳細が載っている。

実写部門で実績のあるソフトオンデマンドグループのSODアートワークスでは新規事業として、海外でアニメーション制作を始めることにしました。 最終的にはオリジナルコンテンツの制作を目指します。

制作進行経験者も募集しているので、動仕だけでなく、実制作も着手したいようだ。
EDテロップで、「SODアートワークス」の名を見る日も近い!

2009年04月30日 アニメ トラックバック:0 コメント:2

ライドバックの挑戦 〜セルとCGの絡み〜

ライドバック頑張ってるよなー。と誉める割に全然見れていないのけど。。。
兎にも角にも、所謂メカ物の宿命として「搭乗者はなるべく見せない」っていうのが常道なんですよ。
何故なら「面倒だから!」という至極簡単で、真っ当?な考えの元にそうしていて、「装甲で覆えば搭乗者も安全じゃん!」なんてのは実のところそれを正当化する為の屁理屈でしかありません。
もし仮にコックピットが完全に透けたメカがいたとして、そのメカが急制動をかけた場合、そのメカの動きに対する搭乗者のリアクション<つまり芝居>が“同じカット内で同時に”発生してしまうのです。
仮に設定上、キャノピーが透けて見えたにしても、引きのロングのカットは“塗り”にしちゃって、キャラは見せない、とかそういう有り触れた手段を講じるでしょう。
まぁ逆にそういう常道があったからこそ、キャラの芝居を見せたい(というか台詞を喋らせたい)富野さんはカット・インを多用するに至る訳であります。

それでキャラも、メカも、同じ作画であればまだラクなのですが、今回のこのライドバック、搭乗者はほぼ剥き出し、大半のカットはキャラ(搭乗者)は作画、メカ(ライドバック)はCG、と「芝居のモーションの合わせ、及びクミの問題」が発生してしまう訳です。
ライドバックが動く度に、搭乗者は髪はなびく、服はなびく、キャラクターの表情及び芝居付け、など作画作業面で考慮しなければならない事が増え、作業的に逃げられない。
また作画の動きとCGのモーション付けを合わせなければならないのも必須で、これはおそらくラフ原の段階で原画さんにCGのアタリをとってもらって、CGガイドをその後紙に出力し、そこから原画作業と言った流れを組んでいるだと思われますが、逼迫した状況が続くアニメ制作現場にとっては作業工程的が一手間増える事は必ずしも喜ばれる事ではない。よくCGというものを「手を抜きやがって」とか言う風潮も未だ見受けられますが、そんな魔法のような便利なものではありません、あしからず。今時「お前に言われんでも知っとるわい!」って人も多そうですが。
近年TVアニメにおけるCG(ここでのCGとはモデリングが必要なものとしての意味です)の使われる頻度が年々増加傾向にあるかと言えば、それはロボットだったり、車だったり、飛行機だったり、家電製品だったり、人間キャラとは違い、線やディテールの多さがネックになりアニメーターさんによってはカットによるムラが出兼ねない物をCGで起こす【クオリティを保つ為の後ろ向きな理由】と、本来硬質な物であるその対象物が作画で動かすとフニャフニャなってしまうのを避ける意味合いや金属の表面の映り込みをいれて情報量を増すといった【表現の幅を増やす為の前向きな理由】が大体の常です。(逆に有名なそのカリ城のカーチェイスシーンのフィアットみたいに、当然“作画のアジ”ってものもあるし、俺もそっちの方が好きだけど、まぁあそこまで描けるのもなかなか難しいのも悲しいかな実状でしょうね。。。)

ジーベックが作っていた「オーバードライヴ」も、キャラ=作画、自転車=CG、でやっていたものが、シリーズ終盤になって自転車が作画になっていたようです。(すいません又聞きなので、当方未確認な上に、どういう云った経緯でそういう処理になったかは判りませんが。。。)
そういう事を踏まえても、バイク物なんかがアニメで少ないのは、そういった事情もあると思われます。故にライドバックには頑張ってもらいたい。

2009年02月03日 アニメ トラックバック:0 コメント:2

グレンラガン紅蓮篇、考察

恐らく、グレンラガンファンでさえ、正直な話、期待してなかったであろう、この総集編・劇場版。
ところが作品の持つ(=グレン団が持つ)荒々しさとは打って変わって、実にキレイにまとまった編集。非常に観やすい。途中のざっくりと各話の点描で見せて片付けてしまうあたりも、清々しささえ醸し出している。トミノ信者の自分としては、展開も速く、ちょっと強引なくらいのトミノ荒編集慣れしている為に、逆に物足りなさも覚えてしまう程(恐らくこの症状はトミノ信者だけです)。

劇場版だからと云って、作画で動きを足さずに、今石演出の真骨頂であるSLやローリングの多用は減らないところが今石さんらしいし、「グレンラガンが帰ってきた」と観る者に作品世界に対する没入感を誘うのに一役買っている。
旧カットの判り易い変更としては“汚し”として特効が増えているのが目立つ。ガイナックス特有の筆で汚したような特効が劇場版としてのスケールを増している(というか単純にカッコいい)。
一方通常TVシリーズの総集編の常であり、最大の売り文句でもある、作画の手直しが非常に少ない(≠新作カットが少ないという意味ではない)。総集編アニメ映画としてはかなり異例であろう。各話作監(特にグロス話数であれ、話題の小林治回であれ)の作画の個性を殆ど残している。これはアニメーター出身の今石監督の心遣いだろうと思われる。
今現在のアニメの潮流として、総作監制を敷き、画一的に一切の“ほころびなく”修正をいれ、クオリティの維持と均一化を絶対の命題としている流れが出来ている。しかし、現在の流れはキャラクターデザインを全てに再現した版権アニメ・グラビアアニメ化させ、所謂キャラデとは違う画だけど、気持ち良い画、カッコいい画を尊重する作品はなかなか許されなくなりつつもある。巧い画で描いているのにキャラデに似てないからと作画を修正させられるというのは、各話作監・原画さん達にとって、非常にやりにくい上に、描いていて楽しくない作業にしかならない場合が多い。金田伊功フォロワーでもある今石さんにとっては、作画の余地、原画さんが遊べる部分(ハッチャけた作画)を残す事で、完成したフィルムに活気に産み、果てはそのフィルムから現場の活気が透けて見える作品構造を築いている。これはTVシリーズから一環していたが、この劇場版においても同様であり、今石監督の作品に臨む姿勢が伺える。
しかしながらアヴァンや終盤はさておき、新作カットがこれほど判り辛いのは、元のTVシリーズのクオリティ(およそTVシリーズのクオリティとは思えないクオリティ)の賜物であり、いかにそのクオリティのポテンシャルが高かったか、劇場のスクリーン映えする画作りをしていたか、をまざまざと見せ付けられる。

終盤の展開のマトメ方もすっきりしているし、寧ろTV版よりも観やすいし、面白い。これが大方のグレンファンの観賞後の一致した見解じゃないだろうか。他にアイキャッチ演出や平松さんのED作画など見所多数有るが、まずは映画を観ましょう。実に2部、3部に期待させられる仕上がりである事は間違いない。


一緒に云ったマイミクさんが言った一言。
「グレン団のマークってオフスプリングのマークのパクリだよね。」
うわっ、今まで全然気付かなかった(笑)そう云われれば、サングラス掛けただけ・・・。

2008年09月22日 アニメ トラックバック:0 コメント:0

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